こんにちは!福井県坂井市を拠点に、工場・プラント塗装から一般住宅まで幅広く手がけている村井塗装株式会社です。
工場の設備修繕やプラントのメンテナンス計画を立てる際に、「重防食塗装の耐用年数は実際どれくらいなのか」「一般的な塗装と比べて本当にコストメリットがあるのか」など、疑問や不安を抱えている担当者様も多いのではないでしょうか。導入コストが高額になりがちな重防食塗装だからこそ、失敗のない仕様選定と長期的な維持管理計画が求められます。
この記事では、重防食塗装を検討している方に向けて、C-5塗装系などの仕様ごとの耐用年数目安や施工単価の相場、そしてライフサイクルコスト(LCC)を抑えるための重要なポイントについて解説します。
■仕様で決まる重防食の耐用年数

重防食塗装の耐用年数は、一律に「何年」と決まっているわけではなく、採用する「塗装仕様(スペック)」によって大きく変動します。塗装仕様とは、使用する塗料の種類、塗り重ねる回数、膜厚などを定めた「塗装のレシピ」のようなものです。プラントや橋梁などの鋼構造物を長期間にわたって腐食から守るためには、設置環境の厳しさに応じた適切な仕様を選定し、計画的なメンテナンスを行うことが不可欠です。
・C-5塗装系など仕様ごとの寿命
大規模なインフラや工場設備でよく採用される基準に、「C-5塗装系」などの規格があります(「鋼道路橋防食便覧」などの公的な指針に基づく分類)。これは、錆止め効果の高い下塗りから仕上げの上塗りまでを計6層ほど塗り重ねる、非常に強固な塗装システムです。 このクラスの重防食塗装における「期待耐用年数」は、一般的に約20年〜30年以上とされています。
例えば、塗膜の中に薄いガラス片(ガラスフレーク)を配合し、水や酸素の侵入経路を複雑にして遮断効果を高めた塗料を使用することで、さらに長期間の耐久性を確保するケースもあります。このように、初期コストはかかっても、高耐久な仕様を選ぶことで、塗り替え周期を延ばし、トータルのライフサイクルコスト(LCC)を低減できるのが特徴です。
・Rc-1塗装系と一般塗装の違い
既設の構造物の塗り替えで用いられる「Rc-1塗装系」という仕様があります。これは、一般的な塗装(ホームセンターで買えるペンキを刷毛で塗るような簡易なものや、JIS K 5674等の汎用さび止め)とは次元が異なります。 最大の違いは「下地処理のレベル」と「塗膜の厚み」です。一般塗装が表面の汚れを落として2〜3回塗る程度なのに対し、重防食であるRc-1系などは、ブラスト処理などで金属表面の錆を完全に除去(素地調整)し、清浄な金属面を露出させてから、下塗り・中塗り・上塗りと4回以上の工程を重ねます。
エポキシ樹脂やウレタン樹脂、フッ素樹脂などを何層にも重ねて形成された分厚い塗膜が、薬品や塩分などの腐食因子から鋼材を鉄壁の守りで保護します。
・環境区分と期待耐用年数の目安
耐用年数を考える上で、仕様と同じくらい重要なのが「腐食環境区分」です。これは、その施設がどのような場所に建っているかという条件のことです。 例えば、同じ仕様で塗装したタンクでも、内陸の田園地帯(腐食性が低い環境)にある場合と、海岸沿いの工業地帯(塩害や排ガスの影響を受ける厳しい環境)にある場合では、実際の寿命は全く異なります。
海からの飛来塩分が多い「海上・港湾部」や、化学物質が常に付着するプラント内では、標準的な期待耐用年数よりも早く劣化が進行します。
■寿命を左右する膜厚と素地調整

重防食塗装が本来の性能を発揮し、カタログ通りの耐用年数を全うできるかどうかは、実は「塗料の質」以上に「施工の精度」にかかっています。特に、目に見えない「塗膜の厚み(膜厚)」の管理と、塗装する前の「下地作り」が不十分だと、最高級のフッ素樹脂塗料を使っても数年で錆が発生してしまいます。ここでは、寿命を決定づける施工の重要ポイントについて解説します。
・防食性能を守る厳格な膜厚管理
重防食塗装において、塗膜の厚さは「ミクロン(μm)」単位で厳格に設計されています。これは、水や酸素、腐食性因子を遮断するために物理的に必要な厚みです。例えば、「乾燥膜厚で300μm以上」という仕様がある場合、これより薄い箇所が少しでもあると、そこが弱点(ピンホール)となり、早期腐食の原因となります。 そのため、施工中はウェットゲージで塗装直後の厚みを確認し、乾燥後は電磁膜厚計を用いて厳密な測定を行います。熟練の職人は、気温や湿度の変化に合わせて塗料の粘度を調整し、垂れや塗りムラを起こさずに均一な厚みを確保します。
・塗装より重要なブラスト処理
塗装の寿命の約7割は「素地調整(下地処理)」で決まると言われています。重防食塗装では、一般的に「ブラスト処理(1種ケレン)」という工法が用いられます。これは、研磨剤(砂や鉄の粒)を圧縮空気で勢いよく鋼材に吹き付け、古い塗膜や赤錆を完全に除去し、金属の地肌を露出させる作業です。 さらに、ブラストには表面をザラザラにする(アンカーパターンを形成する)役割もあります。ツルツルの面にテープが貼れないのと同じで、塗料も凸凹がないと強力に密着しません。ディスクサンダーなどの電動工具で削るだけ(2種ケレン・3種ケレン)では、重防食塗料の強力な付着力を支えきれず、早期剥離のリスクが高まります。
■施工単価の相場とコストの考え方

工場やプラントの修繕計画を立てる際、重防食塗装の見積もり金額を見て、一般的な塗装との差に驚かれることがあるかもしれません。しかし、目先の工事費だけで判断するのは危険です。長期的な視点で資産を守るためには、初期費用(イニシャルコスト)だけでなく、将来のメンテナンス費用も含めた「ライフサイクルコスト(LCC)」で比較検討することが重要です。
・種類別の平米単価と積算価格
重防食塗装の単価は、仕様によって大きく異なります。目安として、一般的な塗装(2種ケレン+ウレタン)が平米あたり数千円であるのに対し、重防食仕様(ブラスト処理+C-5塗装系など)はその数倍の単価になることが一般的です。 価格差の主な要因は、材料費もさることながら、やはり「素地調整」の手間です。ブラスト処理を行うには、研磨剤の飛散を防ぐための密閉された足場や養生、専用の大型機械が必要です。また、塗り重ねる回数が5回、6回と多いため、人件費(工期)もかかります。しかし、このコストは「20年以上の安心」を買うための必要な投資と言えます。
・長期コストを抑える塗料選定
例えば、10年ごとに塗り替えが必要な安価な仕様と、30年持つ高価な重防食仕様を比較してみましょう。30年の期間で見ると、安価な仕様は3回の工事が必要です。そのたびに足場を組み、ラインを停止させ、現場管理を行うコストが発生します。 一方、重防食塗装なら工事は1回で済みます。
特に、足場架設が困難な高所や、配管が入り組んだプラント設備では、工事費の中で「足場代」が占める割合が非常に高くなります。そのため、1回の耐久性を極限まで高めて塗り替え回数を減らすことが、結果としてトータルの維持管理費を大幅に削減(コストダウン)することに繋がります。
■失敗しない重防食塗装の依頼先

重防食塗装は、一般的な住宅やビルの外壁塗装とは全く異なる「工業的な専門技術」の集合体です。そのため、依頼先を間違えると、高額な費用をかけたにもかかわらず、期待した耐用年数が得られないばかりか、短期間で塗膜が剥がれて再施工が必要になるリスクがあります。 業者選びで最も重要なのは、「重防食の実績」と「専用設備」の有無です。一般的な塗装店ではこれらの設備を保有していないことが多く、下地処理が不十分なまま塗装されてしまうケースが後を絶ちません。
また、提案段階での「診断力」も見極めのポイントです。劣化箇所を目視するだけでなく、膜厚計での測定や、塩分付着量の検査などを行い、「なぜ腐食したのか」を科学的に分析できる業者を選びましょう。ただ仕様書通りに塗るだけでなく、現場ごとの腐食環境に合わせて最適な塗料や工法を柔軟に提案できるパートナーを選ぶことが、プラントやインフラ設備の資産価値を守る最後の砦となります。
■まとめ
重防食塗装の耐用年数は、単に「長持ちする塗料」を選ぶだけで決まるものではありません。「C-5系」などの適切な塗装仕様の選定、環境区分への理解、そして何より「ブラスト処理による完璧な下地作り」と「厳格な膜厚管理」が揃って初めて、20年、30年という長期耐久性が実現します。 目先の施工単価だけで業者を選ぶのではなく、ライフサイクルコスト(LCC)の視点を持ち、確かな技術力と実績を持つ専門業者に依頼することが、結果として修繕費の大幅な削減につながります。
■工場・プラントの重防食塗装は村井塗装株式会社へ!

福井県坂井市を拠点とする村井塗装株式会社は、昭和53年の創業以来、化学プラント、橋梁、石油タンクなどの「重防食塗装」を専門的に手掛けてきたプロフェッショナル集団です。 私たちは、塗装の寿命を左右する「下地処理」に徹底的にこだわります。自社でブラスト処理などの高度な素地調整を行い、厳しい腐食環境にある設備の延命化を実現します。
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